世は無常、いつの間にか還暦から今日3度目の誕生日を迎えた。 そして、ブログに長けた古き良き友人の強い勧めとご指導を仰いで出来上がった私のブログの誕生日ともなった。 今までの人生を振り返り、また未来を見つめながら、徒然なるままに文字を綴っていきたい。

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私が今でも機会あるごとに話すショートストーリーがある。 そして、話し終わった後に聞き手に質問をする。 答えは十人十色。 それが真に面白い。 更には議論百出である。 イギリス人から酒の肴に聞いたこの話を20年ほど前に宝飾の業界紙に載せたこともあるが、嘘か真か欧州諸国では子供の教育に使われているとも聞いている。 要約すると以下になる。

ロンドンでの事。 ある立派な身なりの紳士が毎日通勤する路の一角にはいつも乞食が座って通行人に物乞いをしている。 紳士はずっと無視し続けて来たのだが、ある朝、たまたま朝食のトースト3枚のうち1枚を残したので、その乞食に持っていってあげることにした。 思いがけず美味しいパンにありつけた乞食は涙を流しながら紳士の親切に感謝した。 紳士は、わずかトースト1枚でこんなに喜ばれるならと、それから毎朝1枚持って行ってやる事にした。 そうして1週間後、乞食から感謝の言葉がなくなった。 10日も過ぎた頃、トースト1枚を受け取った乞食は、「だんなさま、1枚だけでは腹の足しになりません、どうか2枚お願えしやすだ」と願い出た。 紳士は、さもあらんと翌日から2枚のトーストを持って行ってやった。 乞食はまたしても涙を流さんばかりに喜んで紳士に感謝した。 そして更に1週間ほど過ぎた日の事、2枚のトーストを受け取った乞食は、「慈悲深いだんなさま、2枚ではどうしても腹が減って1日持ちません、明日からはどうか3枚にして下せえ」とせがんだ。 それを聞いた紳士は、「悪いけどそれは出来ないよ、お前に3枚持って来るには、私は毎朝1枚も食べずに来なければならなくなるんだよ」ともの静かに答えた。 しかし、それを聞いた乞食は今までの紳士の親切を全く忘れたかのように、大声を出して罵ったので、道行く人々は、乞食を怒らせている紳士を非難の眼差しで見つめたという。

質問は先ず、「誰が悪い?」。 

  • 紳士が悪い。
  • 乞食が悪い。
  • 両方とも悪い。
  • 両方とも悪くない。

そして次の質問は、「どうして?」。