数年前から「偽装」と言う言葉がマスコミを通じて日本中を賑わしている。仏語ではカモフラージュ(Camouflage)となるが、平たく言えば「ごまかし」だ。

最近世間を賑わしているのが「船場吉兆」のごまかしだが、この間、酒の席で面白い議論が交わされた。

A 「賞味期限と消費期限とでどう違うの?」
B 「賞味期限てのは、その期限以降は味が落ちるよ、って言う意味で、消費期限はその日までに食べ終わってくれ、という事じゃないの?」
A 「って言うことは、賞味期限が書いてあるのはその日が過ぎても味は落ちるかも知れないけど食べられるって言うことでしょう」
B 「多分ね。でも味見してみて変わってると思ったらやめたらいい。」
C 「日本人って一寸異常だよね。そういったことに神経質すぎるよ。
A 「人によりけりだよ。我が家の冷蔵庫や貯蔵庫の中には、期限切れのものが結構ありそうで、料理されたらわかんないので、結構食べさせられているかもよ。」
B 「加工品は良いけど、一番気をつけなければいけない生ものには賞味期限や消費期限はつけてないよね。だから、肉でも野菜でも魚でも、食べる人が自分の判断で食べられるかどうか判断するしかない。」
C 「それが基本なんだけどね。期限を設定するって言ったって、加工業者はいったい何を基準にしてどんな人を対象に設定してるの?日本人?アメリカ人?インド人?アフリカ人?幼子?百歳超えた老人?大富豪?ホームレス?プロレスラー?病人?・・・・ハッキリ言ってたかだか賞味期限や消費期限が切れてるとか改ざんしたとかでこんなに大騒ぎするのはくだらなさすぎるよ。」
A 「確かにね。要するに日本人は自分に自信がないんだよ。」
C 「だから、何でもいいから兎に角他人に責任をなすりつける方法を見つけ出す。」
B 「でも、アメリカやヨーロッパでも凄くうるさいと聞いてるよ。」
C 「アメリカやヨーロッパでもうるさいのは、別の意味があるんだよ。」
A 「どんな?」
C 「あっちは、訴訟社会だ。いちゃもんつけて訴訟に持ち込んで金を巻き上げる目的が潜んでいるんだよ。メーカーはたまったもんじゃないけど、法律で決まっているんだからしかたがない。消費者保護のためだなんて言うけど、怪しいもんだ。PL法だって同じだよ。欧米の弁護士の懐を膨大に膨らませているのが、他ならぬこのPL法だよ。日本の弁護士だってPL法のおかげで大忙しだ。」
A 「どうしてPL法で弁護士が儲かるの?」
C 「裁判所は判例を作りたくないから判決したがらない。それを逆手にとって、弁護士が率先して和解で解決させてしまうケースが殆どだからさ。その際、和解金の大部分が弁護士費用として弁護士の懐に入ってしまうからだよ。」
B 「ふ〜ん。でも、やはり消費者はいい加減なものをつかまされたくないから、法律にのっとってきちんと表示されている品物を買いたいよね。」
C 「勿論だよ。だけど、消費者も人のせいにばかりしないで自己防衛の為にももう一寸勉強すべきだよ。」
A 「だけど、勉強するって言ったって、なにをどう勉強すればいいの。日本の消費者は日本の業者を信じるしかないじゃない。その意味では日本人は世界で一番素直で善良な民族だと思うけどな。」
B 「そうだよね。メーカーの言うことを素直に信じて、信頼して品物を買っている。だからこそ、それが偽装品だったら、やっぱり怒るし許せないよな。」
C 「それはよく分るけど、変なまがい物をつかまされたら結局自分が損するだけだよ。」
A 「所でさ、ダイヤモンドの鑑定書でね、全く同じものでも日本のC社とZ社とアメリカのG社との鑑定結果が大きく違ったりするよね。鑑定機関によって査定の仕方が違うのでそれはいいとして、同じ鑑定機関の本支店間で結果が違ったら、それって偽証になるの?」
B 「厳密に言えば偽証になるだろうね。でも鑑定機関はちゃんと逃げ道を作っているよ。」
C 「微妙な品質の違いなど偽証とは言えないよ。偽証になるのは偽物なのに天然ダイヤモンドと鑑定した場合だけだよ。」
A 「そうかな〜。だって、大粒のダイヤなんかはグレードが1ランク違うだけで値段が1割も2割も違ってくるんだぜ。」
C 「評価を全世界で一定にすることなんて不可能だよ。だって、評価は人間がするんだぜ。重さや寸法だけは精密な機械で出来るけど色と傷は人間の目でしか判別するしか今んところないんだもん。 
A 「じゃ〜鑑定機関の人間の気分で格付けされてしまう訳?」
C 「仕方がないね。消費者が何を信じるかだよ。ダイヤモンドを見せられて、現物を信じるか、鑑定書を信じるか、店を信じるかだね。」
B そういえば、日本で名の通ったMKMT社などは自社の鑑定書しかつけないそうだね。」
C 「そうらしい。自己責任を明確にしているんだよ。たいしたもんだけど、一つ間違ったら船場吉兆と同じ運命になるね。」
A 「いや、船場吉兆は吉兆グループ全体の影響で済むかも知れないけど、ダイヤモンドに関しては、日本の業界全体が消費者の不信を招いてしまうかもね。」
B 「やっぱり偽装は罪深いね。でも、永久に無くならないだろうな。」
C 「そうよ。だからこそ、ごまかし商売がばれたとき、日頃おとなしいだけに、その反動として裏切られた時の怒りはものすごいんだよ。」
A 「でも、偽装のニュースがふえてるね〜。」