文部省が「学習指導要領」で小学校から大学までの授業基準を制定しているが、この制度が事あるごとに教育現場にマイナス要因として立ちはだかっている。
先日東京杉並区の公立中学校が学力向上の為の新アイデアとして学習塾との提携を発表した所、文部省は指導要領に反するので“だめ!”としたのもその一例だ。
新聞やTVでは内容を余り詳しく解説していなかったが、私には文部省は自分たちの権益を守りたいがために自分たちが決めたこと意外の指導方法はどんなに優れていてもすべて拒否しているとしか思えない。
こんな時にこそ何故、学力向上を誰よりも切望する生徒の親たちは国に対し何の主張もしないのだろうか。常日頃から自分の子供の為だけしか考えずに教師や学校に対し利己的で理不尽な要求を繰り返している親たちが、まさか霞ヶ関の権力には逆らえないから、と首を縮めて卑屈にペコペコ頭を下げている時ではないと思うが。
「モンスター・ペアレント」という本が中経出版から出されているのを今日の産経読書覧で知った。著者は本間正人氏。東大卒でミネソタ大学院修了の彼は「学習学」を提唱しており「研修講師塾」の主宰でもある。彼は、この本で、モンスター・ペアレントに悩む教師にだけでなくモンスター・ペアレントにも懇切丁寧に諭しているようなので、近々中に購入して読もうと思っている。
モンスター・ペアレントとは、自分自身が世の中の常識を身につけていないがために自分の子供の躾を放棄しているくせに、教師や学校に対し、子供の躾から教育まで全てが学校側の義務であり責任である、と主張する救いようのない呆れ帰った親たちを指す。
信じられないかも知れないが、モンスターペアレントの殆どは、貧しい家庭環境にある親たちではなく、経済的に十分ゆとりのある、ある意味では暇を持て余している環境にある親たちや、子供をほったらかしてただひたすら金儲けに狂奔している親たちのようだ。
まさか彼らは教師や学校を暇つぶしの絶好の相手として捕らえている訳でもあるまいが、こうした親たちにとっては無抵抗を貫くことしか許されていない教師や学校は最高の「いじめ甲斐がある」対象者になっているのだろう。これでは教師も学校もたまったものではない。無抵抗を続けているうちに何もしたくなくなり、熱血教師は公立校からつぎつぎと去ってしまうという現象につながっている。
結果として、今学校の教室ではどんなことが起きているか。昨日の産経新聞に掲載された、都内のある区立小学校の例を無断で引用させてもらう。

  1. 絶え間ない私語
  2. 教室内外の立ち歩き
  3. 暴力行為、いじめ
  4. 休み時間や放課後にキス
  5. 授業中にマンガ閲覧
  6. 机にうつぶせになって寝る
  7. トイレにこもって携帯ゲーム
  8. 体操着に着替えず体育の授業に参加
  9. 授業参観で泣き出す保護者

まさに生徒のしたい放題だ。
産経は、「携帯メールなどで教員の悪口が一晩で広まる最近の学校。どう対応していくか。学校や教員の指導力が問われている」と結んでいるが、まさか産経までもが、学校や教員に責任をなすりつけようとしているのかと疑いたくなる。モンスターペアレントが全ての根源であることは明白だからだ。
第二次大戦後の、仇討ちを恐れた米国GHQによる日本人「愚民政策」がここに来てしっかりと結実してしまっているとしたら余りにも悲しい。戦前の節度ある誇り高き大和民族に戻すことは、信長のような独裁者が出てこないかぎり無理なのだろうか。
いや、こうした現象は公立の小、中、高に起きているだけで、私立では皆無に近いし、たとえ似たような現象が起きても軽いうちにすぐに解消されていると聞いている。まだ日本にも充分活路はあると思いたい。