衆議院からのNHK中継を見た。自民党は流石に役者が一枚上だと感じた。ガソリン国会とまで言われている今国会だが、自民党民社党も意図的に国民をこのガソリン代25円の攻防に目を向けさせようとしているのではないかと勘ぐりたくなる。
知って欲しい。来る3月31日に期限切れとなる歳入関連法案(日切れ法案)は新聞によると4つあるが、そのどれもが重要なのだ。
1.租税特別措置法改正案
  *揮発油税暫定税率
  *中小企業投資促進税制
2.地方税法改正案
3.関税定率法改正案
4・公債発行特例法案
私が一番重大視しているのは、3番目の関税定率法改正案が廃案となる事だ。何故なら、約420品目の大半の輸入品に課せられる関税率が跳ね上がってしまうからだ。
例えば牛肉。現在の関税率38.5%が50%に逆戻りする。牛丼チェーンはどうする。スーパーの肉コーナーは一斉値上げに踏み切らざるを得なくなるのは目に見えている。ビールの麦芽輸入原価も大幅に上がる。先日ブログにも書いたが中国は自国産の穀物等の輸出に最大25%の輸出関税を課すと発表したばかり。日本はこのような高い輸出関税を課せられた麦芽を輸入するのに今度は逆戻りした高い率の関税を掛けられてしまうことになる。庶民のささやかな楽しみであるビールさえも大幅値上げになりかねない。
食料自給率38%の日本がこれで成り立つだろうか。1リットル25円の値下げは確かに魅力的かも知れないが、その代償は余りにも大きいことを、どれだけの国民が理解しているのだろうか。
K氏より、民主党浅尾慶一郎氏が2005年に国会でこのガソリン暫定税の使途について質問した「主意書」がメールで送られてきたので読ませて頂いたが、彼は特にガソリン暫定税が悪いと言っている訳ではなく、その税金の使い方が不正に行われている点を鋭く追求しているのだ。正しく彼の指摘の通りだ。官僚が一部不正な税の使い方をしているのはこれで判明した。でも、それだけでこの暫定税法を廃止しろというのは筋違いだと思う。
民主党の藤井税調会長は「暫定税率石油ショックの際に、需要を減らそうとして導入した臨時異例の増税だった」と言っているそうだが、現在の状態は73年の石油ショック時よりも深刻とは思わないのだろうか。マスコミも、面白半分に大衆を扇動してトイレットペーパー騒動を起こした過去の反省から、此度はおとなしくしているからと言って、今を石油ショックの事態ではないと思っている藤井氏の経済感覚はいったいどうなっているのだろうか。
それよりも、先ず、関税定率法改正案の継続を速やかに決めるのが急務と思う。
こんな最中、自民も民主も泥にまみれて何やってんだ!とついに立ち上がった15人の爽やかな集団が「せんたく」を発足させた。「せんたく」の名称は坂本竜馬の「日本を今一度せんたくいたし申し候」からの引用だとか。頼もしいことこの上ない。
代表は北川前三重県知事。東国原現宮崎県知事も発起人の一人だし他の発起人も素晴らしい方々ばかりだが、私が特に注目するのは森民夫新潟県長岡市長だ。戊辰戦争時に長岡藩を中立国にしようと奔走した家老の河井継之助や、日本を戦争から回避させようと奔走したが適わぬと悟った時、それならばと真珠湾の奇襲攻撃を敢行した山本五十六司令長官の出身地の市長だ。平成の時代に、長岡からまた英雄が生まれるのではないかと、期待を膨らませたくなる。