8日から北京オリンピックが始まるのを受けて、マスコミ報道は夏空の如く熱を帯びてきたが、その中に「さもありなん」と頷けるレポートがあった。
29カ国のオリンピック出場選手が先日開村した北京のオリンピック選手村には入らず相変わらず日本の22ヶ所で合宿練習しているとの事。そして北京入りは大会直前にする予定だそうだ。
日本の水泳選手団も北京入りしたが、プールの感触を確かめただけでそそくさと韓国の済州島に陣を構えた由。
理由は色々あると思うが、外国選手の殆どが「我々は北京に近い日本で合宿練習が出来てラッキーだ。練習設備良し、食事良し(美味だし安全だし)、環境がいいしテロの心配も無い。そして何よりも日本人は優しくて親切だ」とコメントしている。
日本で外国選手を受け入れている地域はどこも歓迎ムード一色で活気に満ちているという。本来なら中国が浴すべき恩恵の一部をを日本が浴している事になるが、各国代表団にしてみれば背に腹は変えられないと言うことだろう。
マスコミは大袈裟なので何処まで信じたら良いのか解らないが、兎に角北京の空は晴れていても太陽が見えないとの事。100メートル先の建物が皆霞んで見えるのだそうだ。大気汚染がそれほどひどいということだろうが、それほど大気を汚す要因が多いという事だろう。せめてオリンピック開催中だけでも何とか青空を取り戻せないものだろうか。
東京でも、大雨や台風一過の翌日は富士山が見える程に空が澄み渡るが、それも午前中だけで、午後にはやはり空気が汚れてくる。地上に降り立った塵を車輪が再び舞い上がらせるからだ。
かつて、北京の秋空は「北京秋天」と言われ、天が抜けるような紺碧の空の代名詞だった。
人間が作り上げた数々の文明の利器が経済発展とともに、色々な環境破壊をもたらしていることは誰もが認めるところだが、だからと言って経済的余裕がある限り殆どの人は従来の快適な生活を変えようとしない。ガソリン価格が上がろうが電気代が値上げされようが、余裕で生きている。
現在、中国では経済的余裕が出てきた人が急激に増えている。彼らが大気汚染に大いに関与している事は明白だが、彼らを含めカーオーナー全員にオリンピック開催中は車の使用を控え公共機関を利用するよう規制する事は出来ないものだろうか。一般人は総じてお金持ちには弱く、お金持ちは威張っているので、まず無理な注文かも知れないが、せめて呼びかけ位はして欲しいものだ。
オリンピック終了後の、各国選手の体調や如何に、オリンピック観戦に行った人達の体調や如何に。他事ながら気になる所だ。