昔からマスコミ報道を胡散臭く思い、先ずは斜に構えて見る癖があるが、最近の景気報道に関してもどうしても素直に頷けないことばかりだ。
先ず、馬鹿の一つ覚えみたいにマスコミが繰り返し使い、経済評論家さえもがTVで真似し、国会の予算審議でも与野党に限らず多くの政治家が盛んに重用している「百年に一度の経済危機」という言葉だが、最初に使ったのは一体誰だろうか。 
多分米国の政治家が現状を「Historical Economic Crisis in the Century」とでも表現したのを日本の記者が聞いて単純に日本語訳して転用したのではないかと推測しているが、この言葉は歴史的に比較すべく何の根拠も無く、ただ世間を不安と混迷に導くだけの大袈裟な表現で全くくだらないとしか言いようがないが、どうやら良識ある大衆は適当に聞き流しているようにも思える。
もし、本当に100年ぶりの一大危機なら、毎日自動車が町に氾濫し、列車や地下鉄が正常通りに運行し、飛行機が飛びまわり、石油や電機やガスや水道が何の問題も無くスムーズに供給されており、スーパーには新鮮な食料や日用雑貨、生活用品が山と積まれて売られていて、買い物客で賑わっているなんてことなど有り得るはずがない。
兎に角、マスコミは、特に日本のマスコミは、つまらぬ事を大袈裟に報道し大衆を必要以上に不安や混乱に陥れ、皆が慌てふためくのを見て喜ぶ、中国の傾国の美女、褒姒(ほうじ)、にも似た性質の悪い側面を持っている。
だから、TVや新聞報道を単純に信じるととんでもない落し穴に嵌まってひどい目に遭うので注意が肝要だ。 
しかしながら、これだけ毎日、大変だ、大変だ、と新聞でもTVでも、野党政治家からも騒ぎ立てられたら平然としていられるのは難しい。 当然ながら日頃の言動を慎重なものにせざるを得なくなる。 日本人は特に嫉妬心旺盛な民族だから、これだけ世間が不況不況と騒いでいるのを目にすれば必然的に自分もあまり目立たない生活をしようと心がける事になる。
当然ながら金持ちも普通の人も消費は控え目になり、その流れとして景気が間違いなく低迷する。 つまり、マスコミが景気低迷を扇動したことになり、マスコミこそが正常な普通の経済活動を歪んだものにさせる元凶と言える。
冷静に考えて見よう。 日本の人口は1億2千7百万人。 アメリカは2億6千万人。 アメリカが経済破綻して消費が伸びなくなったのが世界経済危機の原因と多くの人言っているが、じゃあそんなことをうそぶいている人に聞こう。 世界68億の人々は、たった2億6千万人のアメリカ人に供給する為に色々な品物を作り続けて来たのか?と
アメリカ人は確かに他人に物を作らせて自分たちは他人の作った物で何倍も楽しむ民族だが、これからはアメリカ以外の国の人たちは、自分たちで作ったものを自分たちで使って楽しめばいいじゃないか。
アメリカが買ってくれなければ何もかも終わりだなんていう考え方はナンセンス極まりない。 中国には14億の民がいる。 インドには11億の民がいる。 アメリカの5倍、6倍の消費者がそれぞれ2国にいるのを何故無視するのかが理解できない。
日本は中国とインドとの経済交流を今までの倍、3倍、4倍の速さでドンドン進めていくべきだ。 民主党のある議員が「日本の金融財産の8割は高齢者が保有している。 彼らにドンドン使ってもらわないと日本経済は上向かない、何とか使わせるようにしろ」などと、とんちんかん極まりない提言で麻生首相を攻めていたのをTV中継で見たが、これが今の日本の政治家の平均的な知的レベルだろう。
こういう点を指摘して、厳しく正すのが本来のマスコミの使命と思うのだが、翌日の新聞にはこの事が一切報道されなかった。 やはり、庶民を混乱させるほうがよほど楽しいのだろう。