今日の日本時間午前11時過ぎからNHKで生中継されたオバマ大統領の連邦議会演説を聴いた。
演説はかれこれ1時間近くも続いただろうか。 その間一度も下を向かなかった。 テーブルの左右にある半透明の原稿ボードにも目を向けなかった。 ということは、演説内容が100%頭の中に正確に修まっていたことになる。 見事と言う外ない。  
日本の歴代首相が所信表明演説を行う時の、殆ど下向をむいたまま原稿を棒読みする姿からは、政治家としての覚悟や責任感が殆んど伝わってこないが、オバマ大統領のこのような演説を聴いていると、本当に頼もしく感じてしまう。
過去8年間に共和党が行った失政に触れた時は流石に共和党員のスタンディングも拍手も無かったが、それ以外は民主党共和党も全員テーマごとに何度も何度も立ち上がって盛大な拍手で彼の演説に賛意を表していた。 日本の議会では有り得ない光景だ。
日本の議会の稚拙さは、野党は全党、何はともあれ与党を「批判すること」が使命、仕事と誤信している所に如実に表れている。 彼らは、首相の所信表明演説の感想をTV局に聞かれて、「中身が無い」とか「美辞麗句の羅列」とか「庶民への迎合」とか決まりきったコメントしか言えない。
今回のオバマ大統領の演説内容に対し、日本の各党はどうコメントするだろうか。 野党はやはり決まりきったコメントを繰り返すだろうか。 私個人の感想では、中低級庶民に対する「リップサービス」に終わってしまいそうな政策が結構織り込まれていたような気がするが。 
その辺りをアメリカのマスコミがどう評するかも興味があるが、演説中も演説後も議会の雰囲気は非常にポジティブで、大統領を讃える熱気が充満していた。 「議会の一致団結」を強く呼びかけられて、みんなその気になっている雰囲気がこちらにも伝わってきた。
また、アメリカがナンバーワンでなければならないというようなニュアンスの発言が何度かあったが、ロシアや中国がこのあたりをどう批評するかも興味がある。 特にロシアは虎視眈々と世界のリーダーにならんと画策しているからだ。
自動車産業については、日本を意識しているのかどうかは不明だが、「アメリカが最初に発明し興した産業だ。 アメリカから絶対無くしてはならない。」と、強調していた。 多分GMもクライスラー社も、何らかの救済措置が取られることになろう。 米国の3大自動車メーカーが消滅すれば、日本のメーカーが世界を制覇することになろうが、オバマ大統領は何としてもそれだけは避けようと決断したようだ。
いずれにしろ、日本はいつまでも「米国がクシャミすれば、日本は大風邪をひく」などといった状態からは一刻も早く脱却すべきで、何度も言うけど、14億の民が暮らす中国と11億の民が暮らすインドとの経済交流を徹底強化すべきだ。 
日本は戦争に負けたからといって、いつまでも欧米諸国に卑屈に媚びへつらうべきではない。 また、一時的に大東亜共栄圏を作り上げたからと言って、これまたいつまでもアジア諸国を侮る事は厳に慎むべきだ。
あ〜、それにしても、いつになったら日本にもオバマ大統領のようなヒーローが出現するのだろうか。
小選挙区制度では100%無理だ。 道州制選挙制度ならリトルオバマ程度の政治家が出現する可能性はあるも知れないが。 いや、2世3世の苦労知らずの議員をぞろぞろ当選させるような今の日本の国民性の下では永久に無理かもしれない。