10日ほど前から我が家に95歳の義母が来ている。 日頃は山形市内に住む彼女は心身ともに頗る健康であるせいか、とにかく行動的だ。 2年ほど前に「富士山が見たいなんて妄想してるのよ」と言われた時に「それは妄想ではなく夢(希望)ででょう。人間はいくつになっても夢を持つことはいいことよ。よし、私がその夢を叶えるべく機会をみて連れて行ってあげよう」と言ったことを実行する為に我が家に呼んだのである。
一ヶ月前に、22日から24日までの2泊3日を「富士見の旅」と称して河口湖畔の富士レークホテルと蓼科ブライトン倶楽部を予約したが、富士山が見られる保障はない。雲に覆われていたら一巻の終わりである。

義母とは年に1〜2度旅をするが、不思議なことに雨に祟られた事は過去何十年の間にも2度くらいしかない程の晴れ女である。そのジンクスに賭けた。

結果は、出発時から快晴。 最初は箱根スカイラインからの眺めを期待して登ったが、あいにく雲に隠れて全く見えず。しかし、箱根から河口湖に向かう道中、先ず乙女峠で見事な富士の姿に遭遇し、義母は感激。 更に、御殿場から河口湖畔までの道中、車中からみえた見事な富士山にうっとり。そしてホテル6階の部屋窓からみえる雄大な富士山にもしばらく見とれていたが、貸切露天風呂に入浴しながら眺める富士山に遂に感極まった様子。

「昔の銭湯の富士山の絵とはやっぱり違うな〜、でも銭湯の絵がなぜ富士山か分る気もするな〜、夢は実現するもんだな〜」としみじみ。

そして翌朝、河口湖に映る逆さ富士も見ることが出来たので、この上ない喜びだったようだ。

義母のおかげで我々夫婦も日本一の山を十分堪能することが出来たのは幸せだった。

矢張り富士は偉大である。

その後、八ヶ岳、蓼科、軽井沢と快晴の中をドライブして我が家に帰ったら、翌日から雨模様。じっくり休養を取ることが出来たが、改めて95歳の晴れ女の威力を感じている。