正月3日(木)の産経新聞3ページに興味深い記事が載った。
日本の食糧自給率は39%と言われている。もし食料品の輸入が止まったら毎日の食事はどうなるかを実感してみようと、東北大学法学部の学生グループと同大学生協が共催で来週15〜16日の2日間仙台市の川内キャンパス食堂で「日本SHOCK!フェア」を開き特別メニューを提供するという。
メニュー例がイラストで紹介されていたが、それを見て思わず胸と目頭が熱くなってしまった。幼い頃に東京大空襲で家を焼失し、止む無く現在母が住む実家で荒地を開拓しながらひもじい思いを体験した子供時代の食べ物を思い出したからだ。そして思った。あの頃、せめてこの位の食べ物を食べられたら、と。
イラストの1日の特別メニュー例は以下である。材料はすべて国産だそうだ。
朝食: ごはん1杯(75g)、ふかしいも(2個)、ぬか漬け(90g)
昼食: 焼き芋(2本)、ふかしいも(1個)、りんご1/4(50g)
夕食: ごはん1杯(75g)、焼き芋(1本)、焼き魚1切れ(84g)
*調味料:砂糖小さじ6杯、油脂小さじ0.6杯
これは昭和20年代後半の1日の摂取カロリー水準(2020Kcal)らしい。
毎朝毎晩ごはんを1杯食べられるなんて、銀シャリとはとんとご縁のなかったあの頃の私にとっては羨ましい限りだが、フェアではこのメニューを忠実に再現して毎食30食分2日間用意するという。企画した学生も「正直食べたいとは思わないが、実物を食べることで危機感を持ち次の行動につなげたい」と言っている。
「日本の食糧事情の危うさを体感」するためのこの食事を、是非是非、霞ヶ関の大きなデスクで、俺は偉い人間だ、などと錯覚してふんぞり返っている我々国民の下僕や国会議員全員にもしっかり味わってもらった上で、迫り来る食糧難時代を国民がちゃんと凌いで行けるようになるためにも、今から国民行事として毎月1日だけ日本の全世帯にこのメニューを実践してもらうようにしたら如何だろうか。国民の殆どは反対だろうが。
でも、メタボリック症候群に怯えている肥満人が多い日本で、自分ではなかなか節制できずにもがいている輩には少しは効果的ではなかろうか。
昨年暮れになって、中国は自国産の穀物を輸出するのに最大25%もの輸出関税を課す事を決定した。自国の食糧事情が非常に厳しくなってきている為だ。当然ながら小麦、大豆、とうもろこし、小豆、そば、等の値段は高くなってしまう。オーストラリアは昨年未曾有の旱魃で小麦の収穫は半減した。米国では穀物産地のあちこちで自然災害に遭っている。すべて地球温暖化の影響だが、中国だけは人災だ。第二次大戦敗戦後の日本がそうであったように、零細農家の若者がいい生活を夢見て都会にどんどん集まってくるので農産物の生産が年々減少し、今では世界最大の食料輸入国になってしまっている。世界のこんな動きの中で、日本も今後年々食糧事情が厳しくなるのは必定だ。
石油の原油価格が1バレル100ドルを超えた状態が続けば野菜などの温室栽培が成り立たなくなってくるので、スーパーに行けばいつでも生鮮野菜や果物が買えるのが当たり前の時代がそろそろ終焉するだろう。
今の若者は食料で苦労した経験がない。なのに食料危機感を一部の学生が持ったということに私は大きな意味を見出す。また、それを実体験してみようと企画した食料安全保障研究グループの今後の活動をしっかりと見守りたい。
こんな小さな活動でもその内容を重視し見逃すことなくしっかりと記事にした産経新聞に改めて敬意を表したい。是非イベントの結果も記事にして知らせてほしいものだ。