何かと失言の多い鳩山邦夫法相だが、おととい法制審議会に諮問した「18歳成人の是非」には、「これは面白いことになった!」と思わずにんまりしてしまった。
現在民法で定められている成人年齢満20歳は明治29年に制定されたものらしい。どんな理由で20歳となったかは知らないが、それまでは男子はかぞえ年15歳で元服するのが武士社会では慣わしだったし、女子も幼くして結婚させられたりしていたので、おそらく明治政府は欧米先進国を見習ってそのまま20歳にしてしまったのではなかろうか。
しかし、現在20歳を以って成人となす、と法律で定めている国はNZ,Thai,韓国などがあるが、英国やフランス、ドイツ、そして法律が州ごとに違う米国の大多数の州や他の多くの国々では満18歳を成人年齢としているようだ。
法相の諮問には、昨年18歳で選挙権を与えるか否かの議論が始まった事が背景にある。18歳で選挙権が与えられるとなれば、成人の資格を有するのも18歳以上とする必要があると考えるのが常識だ。しかし、18歳で権利を与えるのはいいが彼ら全員に義務を行使できる能力が備わっているかどうかとなると甚だ疑問だ。
もう20年以上も前になるが、日本の若者の幼稚化が目立ち始めた頃、成人年齢を30歳にしてしまたらどうだろう、などと仲間と飲みながら話し合ったときがある。それだけに今回の法相発言に一瞬、え?となったが、もしかしたら早めるのもいいかも知れないとすぐに思い直した。
その主な理由は二つある。一つは18歳で犯罪を犯した場合成人として裁かれる事、そしてもう一つは、幼稚化の抑制だ。18歳になったら何をしても成人として扱われるので甘えの気持ちが少しは薄らぐのではないか、との淡い期待が持てるからだ。
世界は広い。成人式は宗教や民族の違いによって色々異なる。イスラエル人から教わった話だが、ユダヤ教の成人式は驚くほど早い。 男子は満13歳になったら、一週間以内に成人式を行わなければならないのだそうだ。それをBarMtzvah(バーミツバ)と言うそうだが、「戒律の子」の意味だそうで、神と人の前で自分の責任で生きていかなければならない年齢が満13歳なのだそうだ。そして成人式が終わった時点で親の責任はなくなるのだそうだ。女子は更に若く、何と満12歳で成人式(Bat Mitzvah バトミツバ 戒律の娘)を行わなければならないとの事。ただ、女子は子供を産み家事を行う義務があるので、男子よりは宗教的にしばられないそうだ。
この話を聞いて、なるほどユダヤ人は凄いと思った。満13歳にして、もう立派な大人として扱われる。それだけに成人式は男子にとって非常に重要な儀式らしい。式は盛大に行われ世界に散らばる親類縁者が集まって祝福するのだそうだ。
満13歳と言えば、肉体的にはまだ未熟かも知れないが、幼い頃から成人式をしっかりと行う為に多くのことを学んできてきるので、大人の自覚と誇りは充分に持っているとの事。
何も満13歳までとは言わないが、日本の若者もせめて18歳までには大人としての自覚と誇りをしっかりと持ってくれれば、これからの日本にとって明るい未来が開けそうな気がする。
ただ、問題は親だ。兎に角、自分の子育てに自身が持てない、と言うより、子育てに無責任な親が多すぎる。モンスターペアレントのように世間知らずな親が余りにも多いので、親離れも子離れもうまく出来ないでいる。だから、たぶん成人若年化には否定的な発言が多くなるだろう。
ここは、マスコミはただ大衆におもねるだけでなく、ユダヤ人の成人式の意義を大々的に取り上げて世に問うてもらいたいものだ。